2012年08月23日

【ものづくり】クシタニが愛される所以

80年代後半、日本におけるオートバイブーム全盛のころ、韓国製の安価な大量生産品などが多く流通した際にも、クシタニの信念は揺らぎませんでした。“ライダーの要望にひとつひとつ丁寧に応える手作業での製造”というクシタニ本来の姿勢を貫き通したことで、一般のライダーだけでなく、世界のトップライダーからの信頼を確固たるものにしたと言えます。

 「クシタニの革ツナギを一着作るのに、牛1.5頭分を必要とします。“適材適所”という言葉通り、それぞれのパーツに適した牛革の部位というものがあるのです。運動性の必要な場所には伸縮性に富んだ腹部に近い革、運動性が少なく外見の美しさが要求される場所にはきめ細やかな背中に近い革、といった具合で、牛革を細かく使い分けしています。また、牛によって個体差がある革の硬さや伸び率なども選別します。無駄がたくさん出てしまうし、コストパフォーマンスは良くないのですが、ライダーの着心地と安全性を考えれば、こういったこだわりは絶対に譲れないポイントですね」と櫛谷社長は語ります。

【ものづくり】クシタニが愛される所以
一着のツナギを作るのに、牛革3枚分(牛1.5頭分)が使用される。丁寧に選別され、適したパーツに裁断される


また、そうしたクシタニの姿勢は、レーシングスーツを創るだけでなく、ライダーのサポートにも現れています。毎年夏に三重県の鈴鹿市で開催される「鈴鹿8H耐久ロードレース」では、今年もクシタニのレーシングスーツを着た選手が多く参加していました。クシタニはそうしたオートバイレースの会場に、ミシンや予備のパーツなどを持ち込み、その場でレーシングスーツを直せる、いわゆる“レーシングスーツの救急車”を毎回出しています。レースは練習走行から予選、決勝まで、1週間ほどのスケジュールで行われます。予選中に転倒したり、それによりケガをすることもあります。本人はもとより、チームは全力で決勝を走れるようマシンを直しますが、ライダーの命を守るクシタニも同様に万全のサポートをします。転倒により壊れたレーシングスーツを“救急車”で即座に直すだけでなく、ケガをしても決勝に参加するライダーには、ケガで腫れた部分に合わせてスーツを広げ、ライダーの負担にならないようなクシタニならではの処置をレーシングスーツに施します。
 こうして、非常にタイトなレーススケジュールの中でも、次の日には新品同様になったレーシングスーツで安心してレースに参加できる。そうした一人一人に対しての細やかな対応を“当たり前”のようにサポートする姿勢が、クシタニが愛される所以かもしれません。

 もうひとつ、櫛谷社長からクシタニが愛されていることを象徴する面白いエピソードをお聞きしました。オートバイのレースでは、マシンだけでなく、レーシングスーツにも各社のスポンサーロゴがぎっしり書かれています。もちろん、レーシングスーツメーカーもその一つで、各社がしのぎを削っています。そんな中、あるライダーがチームのスポンサーとしては別のレーシングスーツメーカーだが、『どうしてもクシタニの革ツナギでレースに参加したい』と言われ、やむなく他社のロゴをつけたクシタニ製のレーシングスーツを提供したことがあるそうです。
 クシタニにとってはそのライダーが活躍しても宣伝にもならず、一文の得にもなりませんが、クシタニを愛してくれているライダーのためならと笑って対応できる。まさにクシタニらしいエピソードです。
【ものづくり】クシタニが愛される所以
熟練された職人の手作業でひとつひとつ丁寧に作られるスーツ



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Posted by 出世大名家康くん at 15:00│Comments(0)ものづくり
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